#02 洗濯船

【時代に飲まれることのない色彩。】

あらすじ

舞台は19世紀後半から20世紀初頭のフランス。
洗濯船とよばれる建物に同居する芸術家たちの物語。
部屋の一つ一つに花の名前がついている。

登場人物

クローバー
ホウセンカ
マリーゴールド
支援者

クローバー「私を思って」

精神を病みやすいレミと同室になれば家賃を半額にするという誘いに乗ったテオ。

レミ

フランス人 画家
風景画家。元々、写実主義的な肖像画を描いていた。
「ボクと同室になってもいいって 言ってくれたのはキミがはじめてだよ」
「テオの絵、ボクは好きだよ。キミの優しいところがよく出ているもの」
「なんで、なんでそんな事言うの。ボクは本当のこと言っていたのに。テオはボクのことが嫌い?じゃあ、死ぬよ」

テオ

フランス人 画家
荒削りだが人々に寄り添う様な絵を描く農民画家。凡才でサロンへの入選作品もない。
「そんな感動されるとやりづらいな。ま、気にすんなよ」
「はは、んなこと言うのお前くらいだよ。画商や借金取りにも言ってやって欲しいぜ」
「もう、うんざりだ!いっつもそうやってお前は俺の事馬鹿にしてんだ!お前に才能の無い俺の気持ちなんてわかんねえよな!」

ホウセンカ「私に触れないで」

人嫌いのオリバーとラファエル。

オリバー

イギリス人 作家・批評家
「フランス人は今までの偉大な芸術家たちの上にあぐらをかいてパリは今でも芸術の中心だと思い込んでいるようだが、答えは否だ」
「来る世紀はきっと悲劇の時代になるだろう。それも我々の小説などちっぽけな想像の産物だと分かるほどの」
「私には嫌いなものが二つある、一つはフランス人らしいフランス人。二つ目はフランス人らしくないフランス人だ」

ラファエル

フランス人 画家
「ぼ、ぼくは女性の背中が好きなんです。背中には目がないし口がないし胸が無いでしょう。あの、言っている意味分かりますか」
「体の皺なんて美しくない。ぼくはと、陶器のように美しい肌しか描きたくないんです」
「ひ、ひい。君ってびっくりするほどストレートな悪口言ってくるよね……」

マリーゴールド「嫉妬」

酒場の女主人リリアンヌに恋する二人。

オランダ人 彫刻家
「あの子が好きだ。俺、あの子に嫌われるくらいならいっそ死んでもいい」
「あの子、俺の自作の絵と詩を受け取ってあなたってロマンチストなのねって言ったんだ!はぁ、これって俺、脈あるよなぁ~!」
「引っ込め軟派な低脳野郎!リリアンヌはお前みたいな脳と下半身が直結してる馬鹿のことなんて眼中に無いんだよ」

フランス人 画家
「彼女みたいな人何処を探したって他に居ない。この地獄みたいな世界に咲く一輪の花さ」
「今日は一段と綺麗だ。髪型変えた?違う?じゃあ、なんでこんなに綺麗に見えるんだろう。ああ、きっと君は俺に魔法をかけたんだ。恋ってやつ。ね、そうだろう?」
「脳みそお花畑はこれだから。リリがあんたみたいな田舎者好きになるわけないだろ?結婚式には呼んでやるよ」

支援者

ロベール

美術アカデミーの会員で画家の傍ら医者としても働いている。
若い画家たちを育てるためアトリエを貸している支援者の一人。
「お、いいじゃないか!お前は本当に色彩センスがいいなあ!」
「はは、お前らが気にするなよ。世の中助け合いさ」
「プライドだけじゃやっていけない。お前が一番わかっているだろう」

リュカ

サロンに対抗して落選作品を集めては展覧会を開いている。
美術アカデミーやサロンに批判的で敵が多い。
「なんだこれ。五歳児のラクガキの方が見る価値あるぞ」
「俺はあんたらに買ってもらうための絵を描きたいわけじゃないんでね」
「優等生のボンボンが。そんなんだから権力に媚びた絵しか描けねえんだよ」